第2回卒業生学術交流会に参加して

先週末、第2回卒業生学術交流会に講師として参加しました。昨年は「PTとしての歩み」を話し、今年は自論として「姿勢制御と臨床応用」をテーマに発表させていただきました。

まず、今年の参加の動機としては、昨年「自分語り」をしたからには、本職である臨床家として何を考えているのかをアウトプットしないと自分の中で気持ち悪さが残っていたので、未熟で未完成な理論ではありますが、現状でどこまで形にできるか確認したかったのが大きな理由です。

また、今回は学生にも参加資格があると聞き、もし私が学生なら、我々のような卒業期の早い世代がいないと、縦の繋がりが薄いと感じるだろうと思い、老婆心ながら発表者としての参加を決めました。

昨年参加して感じたのは、誰もが漠然とした未来や変化に対する不安を抱えており、そういった時代の転換点に業界も大学も差し掛かっているように感じました。特に若い世代に対して、不安を煽るように「青い芝生」や「甘い誘い」が増えることも予測できます。もちろん、他職種他分野への挑戦を否定するつもりはありませんし、キャリアの選択は自由でその選択肢が多い方が豊かであると思います。ただ、理学療法士としてのやりがいや魅力を見失ったまま離れてしまうなら、それはこの仕事が好きな立場としては残念に思います。

第1回の閉会の言葉で準備委員長であるK先生が言われた「みんなこの仕事が好きなんだな。それは私もまだまだ負けませんけど。」という言葉に凝縮された想いにも背中を押されながら、そろそろ私自身も誰かの背中を押していかなければならないなと思うこの頃です。少なくとも自分が育った学校の後輩たちの中で、理学療法士としてもっと学びたい、頑張りたいと思う人がいて、なおかつどうしたらいいのか分からない、職場に相談できる人がいないといったことであれば、積極的に手を差し伸べ、背中を押せる先輩でありたいと思います。

重たい閉塞感や空気感は、積極的な行動でしか払拭できないと思います。恥と面倒を捨てて行動することで、投じる石になれるのであれば、なろうと思います。波紋が広がるには時間がかかるものです。

理学療法士になることはゴールではなく、理学療法士になってからがスタートですが、そこからどんな理学療法士として成長していけばいいかは誰も教えてくれません。

それを自分で考えるのは当然で、「最近の若い子達は…」と簡単に言うことはできますが、そう言うからには先輩としてちゃんと有様を見せるべきだと思うのです。

それは素晴らしい理論や唯一無二のキャリアでもなく、ありふれた日々の臨床業務や経験を伝えるだけで十分だと思います。

特別な理学療法士にならずとも、真面目に真摯に仕事に取り組めば、患者にとって特別な存在になれるのではないでしょうか。大切なのは同業者にどう思われるかよりも、目の前の患者にとってどんな存在であるかです。SNSで誇大に演出する必要なんてないし、必ずしも世界で活躍する必要なんてないし、話題のテクニックなんていりません。

理学療法士として、医療保険の枠内で、1週間に100単位の臨床を行うことに誇りを持っていますが、一方でその臨床で培った技術を研究などによって形にしていくにはどうしても時間がかかる歯痒さを毎日感じています。

今回の発表でも、伝えることで手一杯で、自分自身の未熟さに頭を抱えましたが、発表後に一人、そして懇親会でもう一人、わざわざ質問に来てくれた方がいました。

メモがたくさん書いてある抄録を見ながら質問されたのは初めてでしたがとても嬉しかったです。

知識か、技術か、熱意か。

そのどれかが僅かでも届いてくれたのかなと思えました。

もし、参加者の中で、この感想を読み、あの発表がよく分からなかったという人がいればいつでも気軽に連絡してください。十分な質疑応答時間が確保できなかったことを申し訳なく思っています。

どんな形になるかはまだ分かりませんが、一緒に勉強しましょう。

未来の療法士を指導する教員の方々にはいつも頭が上がりません。その中には学生時代からお世話になっている先生や、大学時代の先輩、同期、後輩の姿があります。少しでも力になれたらと思っています。

K先生が来年もやると言っていました。なので私も来年も参加します。飲み会だけ来ると言っていた同期もいます。来年はちょっと顔出してみようかなと思える方がいたら来年はお会いしましょう。

そして明るい未来を自分たちで築いていきましょう。

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