イズム 〜はじめての国際学会編〜

エッセイ

2017年のことである。修士課程を終えてオーストラリアで開催された国際学会へ参加した。それまで研究に興味のなかった私は当然、国内の学会ですら発表した経験がなかった。Fゼミ生であった私はF先生の「国際学会に出すぞ」の一言で色々な過程をすっ飛ばしている爽快感を追い風に参加することを決めた。

ちょうど自分自身の英語力を試す機会だとも思った。

英会話を始めたきっかけは今でも鮮明に思い出せる。当時、マレーシアから学部生が留学に来ており、大学と大学院の授業にやってきた。

持論を発表する授業だった。間に合わせの拙い英語でプレゼンをする院生(既に理学療法士である)に対して、留学生は「あ、日本語で大丈夫デス」と日本語で言った。

…気を遣われた。

どれだけ技術を持っていても、それを伝えることができないのであればあっという間に世界に置いていかれると焦った。

留学に来るくらいだから成績優秀であろう学部生達。しかしその学ぶ姿勢をみていれば、彼らが理学療法士になってからの勉強に我々は一瞬で追い抜かれていくだろうなと感じた。日本人理学療法士の位置がこの先どうなっていくのかは想像に難くない。

その授業の帰り道、駅のホームでオンライン英会話を契約したのだった。

さて、肝心の国際学会については過去に記したとおりである。

なぜ単独行動だったのか、それは発端のF先生が直前で行かないことになったからだ!笑

国際学会行く行く詐欺である。

典型的な「今となっては良い経験」である。

帰国して真っ先にF先生に報告したくてたまらなかったのは、独りで行かされた苦労でも、学会で得た成果やお土産でもなく、せっかくの海外発表の機会なのに会場で群がって日本語で日本人同士で意見交換するなんとも情けない光景についての愚痴だった。学びとはいったい何だ?

これについては昨日のことのように今でも沸々と怒ることができるのでまたの機会に書くとする。

初学会発表、初国際学会、初海外単独行動と初めて尽くしのチャレンジが無事に終わりました。今回の最大の目標である「自分の研究を世界の人に見てもらい意見を貰う」「海外の研究者と連絡先を交換する」という2点が達成できました。海外の研究者が面白がってくれたポイントも日本人と共通で、自分のオリジナリティに自信が持てました。オーストラリア人のPhDを持ってる研究者が似たことを考えているらしく、こちらの拙い英語でも熱心にディスカッションしてくれて、最後には「ぜひ博士を取ってこの研究を続けた方がいいと」お墨付き?と彼の博士論文もメールで頂きました。400Pもあるうえに工学的で理解するのが難解ですが、今回の最大のお土産となったので絶対に読んで次に活かしたいと思います。

今回のチャレンジによって次に目指すべき目標と今後の研究の方向性も確認できました。登る山が決まればあとは準備と挑戦のみ。道がなければ開拓するのみ。まだまだスタートしたばかりなので失敗を恐れずにどんどんとチャレンジして行きたいと思います。

大学院卒業。仕事も勉強も大好きな自分にとって臨床と大学院の両立は酒好きの飲み会のようなもので、それはとても充実した日々でした。本当に大変なのはそれに付き合わされる家族。家族の理解と協力なしにはあり得なかった2年間であり、明日からまた理学療法に没頭できるのも家族のおかげ。奥さん2年間ご苦労様でした。これからのPT人生をかけて極めたいテーマを見つけられたことが大学院で得た何よりの財産です。誰もが怪我なく思い通りに身体を動かせるように。創造性と生産性を見失わずに「姿勢制御」極めます。

当時のSNS投稿から (2017/7/26)

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