イズム 〜友達編〜

エッセイ

友達とはたらく未来を想像したことがあるだろうか。

少なくとも私はない。

しかし、事実は小説よりも奇なり。私は今現在、友達と働いている。

大学時代に友人と初日の出をよく見に行った。と言っても実際は数回だが、よく行った気がする。レンタカーを借りて、大晦日にバイトを終えた友人を迎えに行った。途中、縁もゆかりも無い神社で年を越し、極寒の観音崎でお天道様を拝んだ。眠気と疲労のみ漂う帰り道に、これまた縁もゆかりも無いファミレスで朝ごはんを食べ、用意周到な友人はトイレで歯を磨いていた。

時は流れ、初めて就職した病院、借りたアパートはそのファミレスの近所にあった。

「まさかあの時の」

あのドライブが縁もゆかりも生み出していた。

さらに時は流れ、今、私が働く街の隣駅に、あの縁もゆかりも無かった神社がある。

「そういえばあの時の」

カーナビが示す通過点は、生活の集合体である。それに気づくと、通り過ぎるだけだった街に色が点く。

縁を辿って、今の整形外科に勤めている。更にその縁を辿って、この度、友人を迎え入れる運びとなった。

歯磨きセットを準備するほど用意周到な友人。驚くほど、前のめりに事が進んだ。彼の背中を押す歌が聴こえる。

『決心のきっかけは時間切れじゃなくて、考えたその上で未来を信じること』

心境としては、学校の仲良しが、通ってる塾に来た感じに似ている。ついでに勉強が楽しかった。

そして今、あの大晦日のワクワクを毎日思い出している。ついでに仕事が楽しくなりそうだ。

当時のSNS投稿から(2021/11/30)

あれから数年が経った。ついでに地域での活動に巻き込んだ。

一人より二人の方が楽しいに決まっている。

30年以上生きてきてはじめて言葉にして言ったかもしれない。

持つべきものは友達だ。

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