イズム 〜新人時代編〜

エッセイ

2011年の4月に理学療法士になった。

理学療法士として歩み始めたあの頃を思い出す。同期はいなかったが、先輩に恵まれた環境で、仕事だけでなく、社会人としての基本も学んだスタート地点である。

講演会で自分の過去について語るため、新人時代に書いていたブログを掘り起こした。

「仕事を楽しくする、面白いものにする。この一点さえ突破できれば、仕事上のどんな悩みもすべて、人間関係だろうが、目標達成、スキル、給与のことだろうが、吹き飛ばせる」児玉光雄

今月のPTジャーナル(46巻11号 2012年11月)の特集は「はたらく理学療法士の動機づけ」です。

その中で、僕が実習でお世話になった病院のK先生が「勉強会と理学療法士組織での活動例」という題で書かれています。ちなみに上の言葉もその中に載っていた言葉です。

記事中には以前、先生に聞かれた「どんな理学療法士になりたいですか?」という質問に対する同世代のPTの回答が書かれています。もちろん僕の回答も。

「高みを目指し続ける」「パラダイムを破る」「結果を出す」など。

このような熱意のある回答があるのはきっと質問者であるK先生の影響が大きいと思います。

K先生の元で実習を経験した若いPTが多数、回答していると思うので。

僕自身、今思い返しても、あの実習から理学療法士に対する熱意は加速していったと思います。

さて、この記事のなかで外発的モチベーションと内発的モチベーションについて触れられています。

外発的モチベーションとは、仕事をした結果得られる報酬によって駆り立てられる意欲のことで、金額報酬や地位報酬がそれにあたります。

内発的モチベーションとは好奇心や達成感など、自分の内側から湧き上るものです。

僕自身は圧倒的に後者によって日々の臨床に向かっています。もちろんそれは「患者さんのために結果を出す」という気持ちだけじゃなく、結果を出し続ける偉大な先生方や頑張っている同級生の姿や、勉強会で出会う方々のおかげで維持している部分もあるんですけど。

前回、「どんな理学療法士になりたいですか?」と聞かれたのが10ヶ月前です。臨床1年目も終わりで、漠然と理想を抱きながら臨床に出てその理想に対する現実から思ったことを挙げました。

僕は、『患者さんに「この人が担当してくれて良かった」と思われるように、そして僕自身が「もっとこうできたのに」と後悔しないように、その時にできる最大限の努力を継続できるPTになりたい』と挙げました。

そして今回、なりたい理学療法士像に近づくための自分自身の行動を振り返ると、内発的モチベーションから臨床・仕事を楽しんでいる反面、苛立つことも増えてきました。1年目より知識も技術も増えたのに(微々たるものだけど)本当に良くなっているのか?まだまだだ。くそ。といった感じで。

ただその「知識も技術も...」という時点で頭でっかちだったのかなと思います。

モチベーションが高いだけじゃだめ。イコール結果が出せるにはならない。

学んだことを生かしながらもっと柔軟に視野を広く、独創的に取り組む。

知識と技術ありきにならないように、でも知識や技術も増やしていく。

患者さんのために、理想の自分に近づけるように、結果を出すために、臨床3年目に向けて準備していきたいと思います。

新人時代のブログから

仕事も一人前に覚えていない新人が、一丁前のことを言ってばっかりであったが、その熱量だけでがむしゃらに突き進めていた時期でもある。むしろ熱量だけでそのままここまで来てしまったとも言える。

誰にでも原点はある。あの日思い描いていた理学療法士になれただろうか。

あの頃の自分の眼差しの先に、今の自分の背中があるだろうか。

その答え合わせをするために講壇へ登った。

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