ベクトルを

エッセイ

「22時に就寝して、5時に起きればいい。」

健康に配慮した睡眠時間と、家族に配慮した朝活時間を確保するために完璧な計画を立てる。

しかし、気合いが入りすぎるのか、いつも深夜1時や2時に目が覚めてしまう。

1時間ごとに枕元で時計を確認しては、まだ早いなと3度寝くらいする。

試しにフライングで4時から勉強したり、読みたかった本や、観たかったアニメを片っ端からこなしたこともあったが、途中で集中力が途切れ、まんまと5度寝をソファで決め込んだ。

そういえば遠足や修学旅行前日もこんな感じだったなと思い出す。

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自分自身にとって、とても有意義で大きな原稿仕事を書き終えた。

同業者なら一度は手にとり、目を通したことがあるであろう専門誌。

雑誌にとって新しい企画だろうか。小さな枠ではあるが、大きなテーマを頂いた。

シリーズの構成として他同業者の方々が各テーマを担当し、私はその試みの殿(しんがり)を努めた。

この仕事に就いて、ずっと学んできたこと、経験して身につけた技術、これからさらに究めていきたいことを詰め込んだ。

オーセンティック(正真正銘)が次の時代のテーマだと思っている。

正しく伝えようと書けば書くほど、地味で当たり前で普遍的なものになっていく。

いや、大切なことはいつも地味で目立たないのだ。

参考文献を正しく引用することで、”巨人の肩”に乗る。

先人や先輩たちが残してきた財産のありがたさと、それを残していく難しさを感じる。

書きたいことを形にしながら、AIにも頼らず、最適な単語を選び、最適な文章を考える。

「そうだよな」

「そうじゃないんだよな」

「これじゃ分からない」

「分かる人に分かればいい」

そんな自問自答を繰り返した。

繋がれ、継がれていくのは”血”ではなく”知”だと思った。

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『ニチレイプレゼンツ…』

radikoをつけて、久しぶりに日曜日を迎えた気がした。

まだ仄暗い朝にこっそりと布団から抜け出して靴紐を結ぶ。

ラジオが生活の一部であるってこういうことか。

夏は暑く、秋は短い。ズレた2時間を久しぶりに走る。

トークに思わずニヤけてしまうから、やっぱりこの時間帯がいい。

目的地のないランニング。

走りながら、あれこれと考える。

原稿仕事は、自分自身が思う仕事の専門性を突きつめて考える機会となった。

そして、次に自分が何をすべきか踏み出すきっかけとなった。

力学からまた学び直す。

『ベクトルには「大きさ」と「向き」がある』

好きなことに対する熱意にも。

その大きな熱意を向ける方向性がはっきりした感覚がある。

身体の器官の隅々まで同じ方向に向かって動いているようで、心も身体も軽くなる。

次は周囲を巻き込んで、社会を巻き込んで、時代に流され、逆らい、ドリフトしよう。

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